【CREATORS’ VOICE】開発の最前線から モンハンの魅力を最大化する技術力とチームワーク

“モンハン”の魅力を最大化する技術力とチームワーク
最新技術を使って最高のハンティングアクションを
- 辻本:
- 今作『モンスターハンター:ワールド』の企画をスタートさせたのは約3年半くらい前のこと。ゲームをとりまく環境が激変する中、現行機向けに、最新技術を使って最高のハンティングアクションをつくろうと考えたのが始まりです。
- 徳田:
- プロデューサーの辻本からこの話を聞いたとき、すぐに初代『モンスターハンター』が頭に浮かびました。モンスターを単に敵として扱わず、生態系の一部ととらえるコンセプトは斬新でユニークなものでした。実は、この初代”モンハン”が僕の入社動機。今回、初のディレクターを務めるにあたり、この”モンハン”の原点を最新技術で表現したいと思いました。
- 藤岡:
- どうすれば、現行機でこの生態系を表現できるか?移動もアクションもシームレスに行えるような環境にしなければ、生き生きとした生態系を描くことはできません。現行機の性能をどう活かすのかがポイントでした。
- 徳田:
- 当時は広大なフィールドを押し出したタイトルが多かった中、シームレスでありながら密度の高いゲーム開発を進めていこうと、アートディレクターの藤岡と話し合いました。
- 藤岡:
- 立体的で密度の高い地形の方がゲームデザイン的にも表現的にも相性がいい。これ以上ないほどの様々な要素を盛り込んだ地形で遊べるか一旦つくることにしました。こうしてデザインしたのが、最初のフィールド「古代樹の森」です。
- 辻本:
- 「古代樹の森」は、草原の中央に巨大な森のような古代樹がそびえるフィールドです。さまざまな植物や生き物が息づく密度の高い場所で、そのすべての環境を利用して狩りを楽しめるよう、ゲームのアウトラインを固めていきました。
開発エンジニアとの連携が高精細なCGと高いゲーム性を実現する
- 藤岡:
- まず「古代樹の森」の雛型を試作し、やりたい要素をフィールド内に置いてテストしたのですが、これが詰め込みすぎて大変でした。
- 徳田:
- 地形が複雑すぎて、モンスターにたどり着くまで道に迷ってしまう。プレイヤーをどうやってガイドするかを悩んでいた時、藤岡からガイド役となる光る蟲「導蟲(しるべむし)」というアイデアが出てきたので、生態マップや音声ガイドも入れてスムーズに楽しめるようにしていきました。
- 藤岡:
- ゲームの要素に加え、フィールドの表現にも苦労しました。今までのシリーズではエリア毎の切り替えがあったので、エリア毎で、ある程度都合のよい光源で遊びやすいように設定できたんですけど、今作では全てのエリアが繋がっているのでそうはいきません。
- 辻本:
- しかも今回、時間の経過も取り入れていますからね。
- 藤岡:
- 真っ暗な場所は、地形を変えて光が差し込むようにしたり、発光するものを配置したり。こうした、ビジュアルやゲームづくりを支えてくれたのが、開発エンジニアたちです。暗部も光の二次反射でほんのり明るくしたり、モンスターの翼や植物など、光の透過表現ができるようになったり。物理演算によって自然でリアルな光を表現できるよう、どんどん技術提案してくれました。
- 辻本:
- “モンハン”を熟知しているエンジニアが、”モンハン”らしい表現を技術で実現してくれて、本当にありがたかった!
- 藤岡:
- たとえば、「アセット(画像や3Dモデルなどの素材)」ベースでの開発もそう。草や木をアセットでつくることで地形などの配置換えが容易にでき、従来の開発と比較してトライ&エラーに対応しやすい環境になりました。
- 徳田:
- 一例として、「大蟻塚の荒地」というフィールドでは、大小様々な蟻塚が配置されていますが、この蟻塚もアセットベースのおかげでセットやバリエーションの追加がやりやすかったです。
- 辻本:
- 開発エンジニアとの密なコミュニケーションのおかげで、つくりたいゲームをつくることができました。
光の動きや透過、反射を表現し、古代樹の森に息づく命を生き生きと描く。
柔軟な組織と個々のモチベーションが”モンハン”をもっと面白くする
- 辻本:
- 初のディレクターを担ってみて、どうだった?
- 徳田:
- これまで経験してきたプランナーとは異なり、ディレクターはまず、制作全体を見る視点が違いました。特に定めたゴールに向けて全員の意識を合わせていく難しさを感じました。
- 辻本:
- かなり大規模なチームだったので、スケジュール管理なども大変でしたね。
- 徳田:
- 全体のスケジュールを睨みながら、週単位、1日単位で何をすべきかを直接伝えるようにしました。仕上がりをみて次の課題を伝え、密なやりとりをすることで乗り切りました。
- 藤岡:
- 日本はもちろん、世界で戦えるタイトルにするためにも、クオリティを落とすわけにはいきません。そこで、セクションの壁をなくし、フレキシブルなユニット制を取り入れました。ミッションが完了したら、そのユニットは解散して、次のユニットに加わる。その結果、クオリティはそのまま、開発のスピードアップを図ることができました。
- 辻本:
- 何より心強かったのは開発メンバー全員のモチベーションが高かったこと。高い目標設定を掲げながら、個々が常に改善策を提案してくれたことは嬉しかったですね。
最高の”モンハン”を作り上げるために、音楽と映像の組み合わせにこだわって開発した。
“モンハン”の原点を、最新技術で世界のゲームファンへ
- 藤岡:
- シリーズ初の世界同時期発売。ゲームづくりと並行し、各言語圏に合わせたカルチャライズも進めています。その国の文化や習慣に合った、伝わる表現を目指しています。
- 徳田:
- いろいろな国の方々に気持ちよく遊んでもらうことは、今作の主題のひとつ。社内のローカライズメンバーの協力を得て、英語を皮切りに多言語化を進めています。
- 藤岡:
- 今作は、シリーズの中でも一つの大きな分岐点。今までにない要素を多数盛り込みながら、画面の隅々まで楽しめるつくりにしています。狩りを満喫するもよし、生態系を観察するもよし。いろいろな角度からプレイできるので、ぜひ手に取ってほしいと思います。
- 徳田:
- “モンハン”の原点である様々なモンスターが生死をかけて息づく世界でハンティングする、これまで以上に迫力のある遊びを大画面でお楽しみください。
- 辻本:
- 「モンスターハンター」のワクワク感はそのままに、より自由度の高いハンティングが楽しめます。その名の通りワールドワイドで”モンハンの世界(ワールド)”を広げていきたいと思いますので、ぜひご期待ください!
世界のユーザーにむけたローカライズ対応にも注力。
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